屋根は、雨や風、日差しを遮り建物を守る役目として重要な構造部です。素材や形によってメンテナンスの方法も異なります。家を建てる際はデザインだけでなく、その土地の気候風土に適したものを計画したいものです。
今回は屋根について、形状や屋根材、選び方について紹介します。
◆屋根の種類
屋根には様々な種類があります。それぞれどのような特長があるのでしょうか。
・切妻屋根(きりづまやね)
2方向に勾配がある三角屋根のことで、一般的な屋根のひとつです。特徴は、構造がシンプルということ。雨漏りが少なくメンテナンスも安価の傾向です。一方で軒がない側面に雨水や太陽光が当たりやすい為、外壁が劣化しやすいという点もあります。多くの住宅で採用されている形状です。
・寄棟屋根(よせむねやね)
家の中心を頂点として四方向へ向かって傾斜した屋根です。切妻屋根に比べて風に強い形状で、軒先を長めにすることで、外壁の保護効果にもなります。一方で、複雑な構造をしている為、建設費が高くなる傾向があります。また、屋根の接合部分で雨漏りが発生する恐れもあります。
・方形(宝形)屋根(ほうぎょうやね)
屋根の最も高い点から四放へ傾斜した、ピラミッドの形の屋根です。傾斜面が屋根の頂点1点に集まっているため建物はほぼ正方形になります。屋根の特徴は寄棟屋根と同様になります。継ぎ目が多い為、太陽光パネルの設置を考えている場合はパネル数が制限される場合もあります。
・陸屋根(ろくやね・りくやね)
屋根が水平になっているタイプのものです。見た目がすっきりとしていて、屋上を使ったスペースの設置や太陽光発電パネルが設置しやすいです。また積雪の多い地域では、落雪事故を防止する目的で採用されることもあります。
一方で、屋根に傾斜がなく水が流れない為、水溜まりができ雨漏りのリスクが高くなる点がデメリットです。採用する場合は防水施工が必要となるでしょう。
・入母屋屋根(いりおもややね)
上部分を切妻屋根、下部分を寄棟屋根にした形状、つまり、寄棟屋根に切妻屋根を乗せたような形状です。作りは複雑となるため、雨漏りがしやすいです。和風住宅などにみられる昔ながらのどっしりとした印象のデザインです。
・片流れ屋根(かたながれやね)
片面一方向のみに傾斜がある屋根です。シンプルな見た目や小さな敷地の建物にも使える点などから、近年人気のある形状の一つです。密集した住宅でも隣の住宅に最高を取りやすい点も特徴です。構造がシンプルなため工事費用は安価な傾向、継ぎ目も少ないので雨漏りのリスクも少ないですが、一方で、屋根が一面しかない為、雨が集中した際に雨どいに雨水が溢れる危険性が考えられます。
このように屋根の形状は、単純なほど工事費は安価で、形状が複雑で勾配が急になるほど工事費が高くなる傾向ですが、それぞれに特徴があるので、よく検討して適切な形状を選びましょう。
屋根材の種類について
続いて屋根材の種類と特徴について紹介します。
・瓦
昔から日本で使われている瓦屋根。粘土を高温で焼いて出来ています。形によって日本側らと、要瓦に分かれ、また、素焼き瓦、いぶし瓦、陶器瓦など、焼き方や製法によって種類もさまざまです。耐久性や耐火性、断熱、遮熱性能に優れています。デメリットは、重い素材の為耐構造上の注意が必要です。
・ガルバリウム鋼板屋根(金属屋根)
軽さと屋根の形を自由に作ることができる点が特徴です。傾斜に合わせて幅広く対応が可能な屋根素材です。また、デザインやカラーの種類が豊富です。材料自体に断熱性、保湿性がない為、断熱材を入れて補います。
デメリットは、表面の色褪せで、10~15年に一度、塗り替え工事が必要となるケースが多いことです。サビや浮きが出来ることもあります。定期的に屋根の状態を確認するとよいでしょう。ちなみに、ガルバリウム鋼板とは、アルミと亜鉛の合金でメッキした銅板のことです。
◆スレート材
石綿などの繊維とセメントを混ぜて板状にした屋根素材です。瓦より軽量で安価であるため、瓦の代わりに選ばれることも多くなっています。断熱、遮熱性がありますが、表面の塗装が劣化すると、断熱や遮熱の性能が失われてしまいます。定期的な点検や、将来塗料のリフォームが必要となります。
・アスファルトシングル屋根
北米などで普及している屋根素材の一つです。デザイン性に優れています。素材が柔らかい為、割れる心配がなく、表面は細かい石や砂を付けたものなので錆びる心配もありません。防音性にも優れています。また、ガルバリウム鋼板と同様で軽量であるため、地震の影響を受けにくいです。一方、軽い素材の為、経年劣化によって剥がれる可能性がありので、メンテナンスの必要が出てきます。緩やかな斜面は施工できない場合があるため、確認が必要です。
屋根の種類や特徴は様々で、それぞれ異なります。家を建てる土地の季節風土、デザインや費用、将来のメンテナンス等を考えて選びましょう。注文住宅に関してご不明な点がありましたら、お気軽にご相談ください。
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