注文住宅を検討する際によく質問いただくのが「ピアノの置き場所」についてです。大きく重量のあるピアノは、一度配置場所を決定すると移動が難しいため、どこに置くべきなのか迷ってしまいますよね。また、普段練習することを考えると、ピアノの音が生活に支障をきたしてしまうことのないように考慮する必要があります。そこで今回は、ピアノのある暮らしを満喫することができるよう、ピアノを置く場所について考えていきましょう。
【ピアノの種類】
ピアノは大きく分類すると「グランドピアノ」「アップライトピアノ」「電子ピアノ」の3種類に分けられ、一般家庭で最も多く使用されているのはアップライトピアノです。アップライトピアノはコンサートなどで目にするグランドピアノよりもコンパクトなので、家に置くのに調度よいサイズ感となっています。ただ、コンパクトと言ってもしっかりとしたピアノなので、一般的な大きさは一帖弱あり存在感も大きいため、置く場所に悩んでしまう人が多いでしょう。
【ピアノを置く場所はどこが良い?】
新築でピアノを置く場合どこに置くべきか悩むところですが、一般的に多く置かれているのはリビングとされています。注文住宅で間取りを検討する際に、子ども部屋にピアノを置くことを考える人も多いですが、人が集まるリビングに置くことで触れる機会が多くなることからリビングに置く人が多くみられます。
また、小さいお子さんの習い事としてピアノを検討している家庭では、子どもの練習を聞きながら料理や掃除が出来るという点も大きなメリットとなるのではないでしょうか。小さいお子さんがピアノを習う場合、まだ1人での練習は難しいため、親が一緒に教えてあげる場面も多くなります。そのため、一般住宅ではリビングや生活動線から遠すぎない場所に置くケースが多く見られます。
【ピアノを置く際に補強は必要?】
新築一戸建てにピアノを置く場合、必ず補強をしなければならない訳ではありませんが、もしもの時に備えて補強しておくのが安心です。建築基準法では、床の耐荷重は180㎏/㎡(住宅用途の長期積載荷重の最低基準)と定められています。
10㎡の場合は1800㎏以内という計算になりますが、この数値は最低基準となるためこの重さを超えてしまったからと言って床が崩壊してしまうという訳ではありません。アップライトピアノの重さは約200~270㎏程度とされており、床の耐荷重は十分耐えきれる計算となります。しかし、家は長く住み続けるとどうしても老朽化していくため、家の歪みや地震などの災害に備えて、補強しておくのが安心です。
◇床下に鋼製束を入れておく
補強の方法としてよく行われているのが、床下に鋼製束(こうせいづか)という補強柱を入れる補強方法です。地震などの災害対策として鋼製束は効果が期待できるとされており、ピアノを置く際の補強方法としては最善と言われています。
鋼製束を設置するたにかかる費用は10万円程度が相場となっていますが、あらかじめピアノを設置する床下に鋼製束を入れておくことで床の歪み・破損を防ぐ効果が期待できます。補強した後にピアノの置く場所を変更することは難しいため、ピアノの置き場所は設計時にしっかりと検討しておきましょう。
【ピアノの防音対策について】
ピアノを置く際に考慮しなければならないのが「防音対策」です。
ピアノの音はさまざまな方向に流れるため、予想以上に音は広がってしまいます。簡単な対策としては、「窓やカーテンを閉める」方法が有効とされています。カーテンにどんな効果が?と疑問に思うかもしれませんが、波型をしたカーテンは響いた音を吸収する効果が期待できるため、レースカーテンだけでも閉めておくことで防音効果が期待できます。しかし、ピアノの音を完全に防ぐことは難しいため、近隣に迷惑をかけることなくピアノを楽しむためには、出来る限りの防音対策をとるように心がけましょう。
◇インシュレーターを取り付ける
一般的な家庭の防音対策としてよく取り入れられているのが「インシュレーター」です。インシュレーターはピアノのキャスター(脚)の部分に取り付けるもので、底がクッションになっているためピアノから床に伝わる振動を抑える効果が期待できます。ピアノのキャスター4本に履かせるだけで簡単に取り付けられるので、最初に取り入れたい防音対策です。また、比重がかかるキャスター部分にインシュレーターを取り付けることで、床のへこみを軽減させる効果も期待できますよ。
◇防音マットを敷く
ピアノの下に防音マットを敷くことで、ピアノから床に伝わる振動音を防ぐ効果が期待できます。床を守る効果もあるとされており、「補強ボード」とも呼ばれています。一般的に厚さは2~3㎝程度のものが多く、厚いほど防音効果が高くなるとされています。防音マットは大型ホームセンターにも販売されており、工事することなく敷くだけで防音対策をすることができます。
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